前回の歯医者さん事典では、麻酔をしなくても治療することができる浅い虫歯についてのお話をしました。
今日は、反対に神経ギリギリまで深くなった虫歯についてのお話をします。
治療する前は痛くなくても、実は虫歯が大きくなっていることはけっこうあります。
虫歯が大きくなって、歯髄にかなり接近しています。
虫歯菌に感染した歯質を取り除いていくと、歯髄ギリギリで首の皮一枚の状態!!!
歯医者さん事典46でお話したように器具でカリカリと慎重に虫歯を取り除いて行くのですが、かなり慎重にしないと、ちょっと触ったら歯髄が露出してしまうような状態なのです。
ただ、歯髄にまで到達しそうだからといって、虫歯菌に感染した歯質を残してしまったら全然意味がないので、そこはしっかりと取り除いていかなければなりません。
このようにホントに息を飲むほど慎重になってしまうギリギリの虫歯は、まさに神経が生きるか死ぬかの瀬戸際にあります。
治療が終わって麻酔が切れた時に痛みが出ることも・・・・・。
その痛みは、神経が生き残れる状態なのであれば、次の日には治まって来ます。
(神経のある歯なので、冷たい物に対する反応はあります)
次の日になってもズキズキして、冷たい物も熱い物もしみて、食事も出来ないような状態になってしまった場合には、残念ながら神経を取る治療をすることになります。
痛みが出るかもしれないけれど、わずかでも神経を残すことができる可能性があるのなら、その確率が数%であったとしても、やはりその可能性にかけたい!というのが私の思いです。
『歯科 マイクロスコープ』歯医者さん事典⑯でお話したように、神経を抜いた歯はやはり弱くなってしまうから。
歯医者さんで虫歯の治療をした時に、虫歯が深かったので、明日も痛みが治まらなかった時には神経の処置になるかも・・・と言われた時は、今お話したように神経が生きるか死ぬかの瀬戸際にある時です。
『マイクロスコープ』
患者さんにしてみたら、痛みが出る可能性があるのはイヤなことかもしれませんが・・・
その背景には、こういう理由があるんだということをご理解いただけたら嬉しいです。